感染症

 介護の現場では、血液や排泄物など、感染の危険のあるものに接することがあります。介護者が安心してケアする為にも、正しい知識をもって必要以上に感染を恐れることの無いようにしたいものです。
感染症については、ケアをする介護者自身の予防の問題と、免疫力の落ちている利用者に感染させない問題の二つの側面があります。これらを しっかり学んでいきましょう。

感染症とは

病原体が体内に侵入したことが原因で起こる病気を感染症といいます。病原体となるものにはウィルス、マイコプラズマ、クラミジア、リケッチア、細菌、真菌(かびなど)、スピロヘータ、原虫、寄生虫などがあります。
これらが体内に侵入した後、組織内で増殖をはじめた状態を「感染症」と呼びます。感染症はインフルエンザやマラリアのように人から人へ、あるいは動物から人へ伝染する「伝染性感染症」と、食中毒のように他へ伝染することのない、「非伝染性感染症」とに大別できます。
なお、一般に「伝染病」というときは、伝染性感染症のことをさします。

感染経路

1.経口感染
病原体などが水や飲食物に混じって、口から入って感染する場合。A型肝炎、食中毒、赤痢など。

2.飛沫感染
患者のせきやくしゃみで空気中に飛び散った病原体を吸い込むことにより感染する場合。インフルエンザ、結核、肺炎など。

3.接触感染
病変部や血液などの体液にふれることで感染する場合。B型・C型肝炎、MRSAなど。

4.経皮感染
傷口から病原菌が入って感染する場合。破傷風、狂犬病など。

高齢者に起こりやすい感染症

◆日和見(ひよりみ)感染
日和見感染は、病名ではありません。通常ならば発症しないような、弱毒病原体による感染のことをいいます。
弱毒病原体は、どこにでもいるような微生物で、すでに宿主のなかにいることが、多く、宿主の抵抗力が落ちた時に発症します。
緑膿菌、MRSA,カリニ肺炎、カンジダ症などがこれにあたります。

◆MRSA
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌の略号です。
この細菌は、空気中のどこにでもいる病原性の弱い菌ですが、抗生物質に対して強い抵抗力があり、抗生剤が効かない菌です。
抵抗力のなくなっている人・高齢者では、上気道炎、尿路感染や褥瘡への感染にはじまり、重症の肺炎などを引き起こします。
MRSAは、病院内感染の原因菌としても注目されており、感染予防が大切です

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感染症のいろいろ

1.ウィルス性肝炎
◆A型肝炎
A型肝炎ウィルスに汚染された飲料水あるいは生貝を食べる事によって発症。
ウィルス感染後2〜6週間の潜伏期間を経て、急激に発症し、肝機能障害および発熱・全身倦怠感と食欲不振・黄疸などの症状が出現します。
大部分が3〜6ヶ月で治る。

◆B型肝炎
血液を介して感染する輸血後肝炎といわれていたものですが、母子感染、性行為でも感染し、
感染後1〜6ヶ月の潜伏期間を経て急性肝炎として発症することが多い。
通常2〜3ヶ月で回復するが、その一部が劇症肝炎になる事がある。
日常の介護では、血液の取り扱いに要注意。傷口・鼻血などの血液には、直接手を触れないように。

◆C型肝炎
B型同様に血液を介して感染。
キャリア化しやすく慢性肝炎、肝硬変、肝がんになることが多い。

2.疥癬
ヒゼンダニの感染による皮膚病。人から人の直接接触や寝具を介して感染する。
強いかゆみと共に、赤いブツブツや小さい水疱ができ、かゆみは夜に強くなる。
掻きむしって患部が広がったり、細菌感染を起こし化膿することも。
また疥癬には、通常疥癬とノルウェイ疥癬がある。

3.肺炎
ウィルスや細菌の肺感染症。高齢者は症状に乏しく、倦怠感、食欲低下などの初発症状のみで急に発症する特徴がある。
また、口腔内の菌を吸飲して起こる誤嚥性肺炎の頻度が高く要注意。

4.尿路感染症
膀胱の機能低下により、腎盂腎炎や膀胱炎などの尿路感染症を起こしやすく、ほとんどは、尿道からの侵入によるもの。
老化による膀胱の機能低下や前立腺肥大症のほかに、脳血管障害・認知症・糖尿病なども感染症の原因に。
水分を充分にとり、トイレを我慢せず清潔を保つように。

流行する感染症

1.インフルエンザ(流行性感冒)
インフルエンザウィルス感染により起こる風邪症候群の一種。空気感染もしくは飛沫感染によるもので、39℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛など全身の症状が強く、のどの痛み、鼻水などの症状も見られる。気管支炎、肺炎などを併発し、重症化することが多いのも特徴。 感染力が大変強く、抵抗力の弱い高齢者は死亡するケースもあるため要注意。

2.結核
咳と共に排出した結核菌の飛沫を吸い込む事によって空気感染する病気。初期のうちはカゼに似た痰、微熱、だるさ等の症状がみられ、病状が進むと血痰が出たり、喀血したりする。菌は確実に肺を浸食し、最後は呼吸困難で死亡する。咳が続くようであれば、早めに医療機関に相談を。

3.O−157
牛・羊などの腸内に住む菌が糞便などに汚染された飲食物を通して感染。潜伏期間は4〜9日で、激しい腹痛・血便・発熱・吐き気等を引き起こす。非常に感染力が強く、死に至ることもあり要注意。

4.ノロウィルス
非細菌性急性胃腸炎を引き起こすウィルス。貝類が原因になるほか、感染したヒトの排泄物(便)や嘔吐物、それらが乾燥したものから出る塵埃を介し経口感染する。感染力が非常に強く、1〜2日の潜伏期間で発症する。

5.SARS
原因は新型のSARSコロナウィルス。飛沫感染や体液・排泄物などの接触感染によって起こるとされている。

予防と対策

病原体が体内に入ったからといって、必ずしも発病するわけではありません。
感染源や感染経路があっても、宿主側の免疫力が強ければ、病原体は破壊されてしまうのです。
介護者は日頃から健康管理に気を付け、体力を低下させないようにすることも大切です。
また、予防接種などで免疫を付けておく事も役に立ちます。
一方、高齢者の場合には免疫力が低下していることが多いので、感染を防ぐ為には、感染源や感染経路に細心の注意を払わなくてはなりません。

1.手洗い・うがい・アルコール消毒
2.エプロン(防護服)・マスクの着用
3.排泄物を直接触らない
4.使い捨てゴム手袋着用
5.血液には絶対触らない

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