高齢者の心理

介護を行なうにあたり、私たちは利用者である高齢者の心身の状態やそれぞれの心境を理解する必要があります。
「高齢者はこうである」とひとくくりにすることはできませんが、それぞれの個性を理解するために、ここでは高齢者の行動と心理の一般的な傾向や、社会に置かれている状況、生活環境について学びます。

老化に伴う身体面の変化

  1. 身長や体重は、以前に比べて減少します。
  2. 骨粗鬆症や変形性関節症によって、脊柱や関節が変化してきます。
  3. 髪の毛や歯が抜け落ちて、本数が減っていきます。
  4. 皮膚は乾燥して弾力を失い、色素沈着や白斑、血管硬化などが生じます。
  5. 新しい環境に適応する能力が低下します。
  6. 病気に対するからだの抵抗力も低下します。
  7. 視力や聴力が以前に比べて衰えます。
  8. 記銘力や学習力が低下します。一般的には視力より耳で聞いて覚える事がより困難になり、学習に時間がかかります。

高齢者の一般的な心理背景

1.否定的な心理背景…『衰えること』と『失っていくこと』
・ 子どもの自立に伴う喪失感、勤め先や職業からの引退、経済力の低下、社会との交流の減少
= 社会的な衰退と損失
・ 体の機能の衰え、健康を損ないやすくなる、高齢による配偶者との死別
= 生物的な衰退と損失
⇒ 悪く作用すると、生きる意欲を失ってしまうほど落ち込むことも!
2.肯定的な心理背景…『人生経験の自信と深み』
・ これまで成し遂げてきた人生の積み重ねにより得た到達感や充実感
・ 豊かな人生経験を重ねたことによる思慮深さ、寛容さ、忍耐力、生活の知恵、伝統的な技術の習得
⇒ 深みのある思考や性格、固有の能力などを身につけている
3、時代背景と生活史…『価値観のあり方』
・社会情勢(戦争、景気など)や、その人が受けてきた教育、家庭環境、生活史などは、生活態度や価値観に大きな影響を与える
⇒ 一人ひとりの高齢者が生きてきた時代背景やその人の生活史をよく知ることが、利用者の現在の姿を理解する手がかりになる!

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高齢者の感情の変化

1.喜怒哀楽の感じ方
高齢に伴い比較的穏やかになっていく。
その一方で、一度悲しみを感じるといつまでも嘆き続けていたり、
一つの感情にとらわれ始めるとそこから抜け出すことが難しくなっていくのも特徴。
2.多くの不安を抱えている
老化による心身の衰え、体の不調や痛み、死に対する不安、家族のこと、
まわりの者から見放されるのではないか、といった思い。
「不安」 「寂しい」「心配」「心細い」
→悪化するとうつの状態や、焦って落ち着きがない状態になることも。
→さらにひどくなると、人への非難や悪口、攻撃的な言動、わがまま、 人を疑う、妬むなどの精神状態に陥ることもある。
3.無気力や依存になる場合
心身の衰えを実感しながらの生活により,前向きな気持ちや将来に対する希望が持ちにくくなる。
→さらに大きな問題に直面したとき、極端な無気力に陥ったり、依存の傾向が強くなることも。
→自分の力でなんとかしようという気力がなくなり、人からしてもらって当たり前といった心境になる。
4.うつ状態などの感情障害
親しい人との死別などによるショックや、脳動脈硬化症や軽度の認知症などの病気によりうつ状態に陥りやすい。
→「高齢期うつ病」になると無気力感、不安やあせり、心気症状、妄想などが強く現れるようになり、病状がひどくなると自殺の危険性も出てくる。
5.加齢により性格も変わってくる
高齢期になると、感情表現だけでなく性格そのものも変わってくることがある。
例)
楽観的→悲観的
否定的で怒りっぽい→前向きで穏やかに等
変化の仕方は人それぞれだが、その人本来の性質やこれまでの性格をベースに、身体の老化、人間関係の変化などに影響されて変わることが多いといわれている。

高齢者とうまくコミュニケーションをとる方法

◆言語的コミュニケーションと非言語的コミュニケーションの活用
・言語的コミュニケーションでは、わかりやすい言葉ではっきりと話す。
・非言語的コミュニケーションでは、優しさや安心感を感じてもらえるように。
◆コミュニケーションのポイント
1.静かでゆったりとした環境をつくる…リラックスして話せるように
2.目の高さを合わせ、向き合って話す…相手の表情や唇の動きを観察する
3.低めの声で、ゆっくり、はっきりと話す…かん高い声は嫌がられる
4.ジェスチャーを使う…身振り手振りなどで視覚的な工夫を
5.文字や現物を見せる…筆談を交えるのも効果的
6.話をよく聴く…傾聴の姿勢をみせる
7.相づちをうつ…受容と共感の姿勢・質問やオウム返しも
8.スキンシップを交える…肩に手を添える、手を握るなど

高齢者の心を支えるための配慮

1.高齢者がもっている時間の重さを考えて接する
長い人生、豊かな人生経験=短い未来…その時に関わることの重さ、その人の過去や生活史について、思慮を深めましょう。
2.自尊心を尊重し、敬意をもって接する
心身の衰えばかりに目がいってしまうと、無意識のうちに見下したような態度になり、相手を傷つけてしまうこともあります。
その人がこれまで成し遂げてきたこと、長い年月を生き抜いてきたことに対して、敬意をもって接することが大切です。
3.意欲を高めるための目標をみつける(心の自立支援)
ただやみくもに「頑張って」というだけではかえって負担になります。
その人の意向を汲んだ具体的な目標をみつけ、励ますことで意欲を高めましょう。
努力や結果に対しては賞賛の言葉をかけ、一緒に喜び合い、心を支えましょう。

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